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部紹介


よう実7巻発売されましたね。早速買いにいって見ましたがやはり面白かったですね。作者的には坂柳の絵があった時点で確かな満足を得られました。
ここ最近椎名ひよりも気になりますね。ミステリアスな雰囲気が好きです。でもやっぱり銀髪の子って最高だよね(唐突)

さて、話がずれましたが本編をどうぞ。
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桐生が昼ご飯をなんとか平らげて、机を元に戻していた時、突然放送がかかった。珍しいことにクラス全員が耳を傾けていると、それは部活動紹介であった。
 
「本日、午後5時より、第一体育館の方にて、部活動及び、委員会の説明会を開催いたします。部活動、委員会に興味のある生徒は、第一体育館の方に集合してください」
 
部活はあまり興味ないな。自由な時間が多い方がいいし、運動は趣味でする方がいいな。
 
「二人は部活に入るのか?」
 
綾小路が桐生と堀北に問いかける。
 
「俺はやらないかな。でも見に行くだけなら行きたいかも。」
 
「興味ないわね」
 
相変わらず素っ気ない反応を示す堀北であったが、律儀に返答はしてくれるあたり優しいもんだと思った。そんなことを本人に言うと不快な顔を示しながら言葉責めされそうなので桐生は黙っておくことにした。
 
 
「綾小路はどんな部活に入るとか決めているのか?」
 
「まだ考えてないが、多分入らないな。ただ、見には行きたいな」
 
「二人揃って同じことを考えているなんてね。まさかあなたたち二人揃って友達を探すために行くなんて考えているんじゃないでしょうね?」
 
「俺は今日やることないから暇つぶしに行くだけだ。綾小路もそうだろう。」
 
「オレにとって部活は友達を作るチャンスだと思うんだ。」
 
綾小路はそう考えていたようだった。てか、堀北は綾小路の考えてることがそっくり分かるとかどうなってんだ?出会って二日でわかるようなもんじゃないだろう。なんだかんだ仲がいいんだな。
 
「何か余計なことを考えているようだけどやめてもらえないかしら?」
 
「なんでわかるんだよ!?」
 
「そんな顔をしていたからよ。それにしても馬鹿ね。けど、私には綾小路くんが、本気で言っているようには思えないわ。本当に欲しいのならもっと自分から主張するべきじゃないかしら。」
 
「それが出来れば苦労はしない。」
 
「確かにそれはそうだ。ところで堀北さんは、なにか部活やってたのか?」
 
「いいえ。部活動は未経験よ。」
 
「部活以外は何が経験済みなんだ? やっぱりあんなことやこんなことか?」
 
意外にも綾小路君が下ネタで堀北さんをからかいに行った。普段の行動からは考えられないことをしたため俺は驚いた。すると綾小路が脇腹にチョップを受けていた。受けた本人はとても痛そうな顔を浮かべている。堀北に逆らうと痛い目に合いそうだからやめておこう。というか本当に綾小路と堀北は仲良い気がする。
 
「綾小路の発言は無視するとして、どうせなら放課後3人で説明会に行かない?」
 
「あいたた...俺は賛成だが堀北はどうだ?」
 
「......ねえ、少しだけでも構わない?」
 
意外な言葉が返ってきた。どうせ堀北は断るだろうと思っていたため正直驚いている。となりに目をやると綾小路も驚いているようだった。
 
「もちろんだ。興味があるものが終わったら帰ってもらっても構わない。」
 
「だな。オレはキッカケを探すだけだし。それよりいいのか?」
 
「少しだけならね。それじゃあ、放課後に。」
 
「それにしてもなんでまた参加するって言ったんだ?堀北なら断りそうだと思ったが。」
 
 
「それは友達を作れず、右往左往するあなたたちを見るのも、少し面白そうだと思ったからよ。」
 
こんな時でも俺たちのことを貶すあたり、やはり堀北はいい性格をしていると思う。

午後の授業が終わり放課後になる。説明会まではまだ時間があるため何かしようと思った。図書館に行ってみたいが、時間が足りないし、今から行っても暇だ。誰かと話をしよう。誰か話せる人はいないかと探していると、洋介が誰とも喋っていないのが見えたため、洋介の元に移動した。
 
「洋介はやっぱり部活動紹介を見に行くのか?」
 
「ああ、サッカー部に入るって決めているからね。司も行くのかい?」
 
振り向きながら話をする洋介はやはりイケメンだ。周りの女子たちも洋介の方向を見ている。洋介自身は特に気にすることなく話しているが、普通なら気になって仕方ないだろう。俺や綾小路なら喋れていないだろう。
 
「ああ。ただどこの部活に入るというわけではなく、ただ見に行くって感じだな。」
 
「そうか。サッカー部の紹介を見てやりたいと思ったら一緒にしよう!」
 
「とりあえずは見に行ってからだな。」
 
「二人とも何の話をしているの?」
 
俺と洋介が話しているとなりから会話に参加してくる女子がいた。彼女は昨日話をしたく軽井沢で、洋介にやはり注目しているようだった。なんか悲しい...
 
「ああ、軽井沢さん。この後の部活動紹介についてだよ。そうだ軽井沢さんも一緒に行かないかい?」
 
「いいね。私も暇だから時間つぶしをしたかったからね。」
 
「良かった。司も一緒にどうだい?」
 
「あー...すまない。既に先約がいるんだ。」
 
「そうか...突然誘ってしまってすまない。」
 
「そっかー....桐生くんは誰と一緒に行くの?」
 
軽井沢が少し近づきながら話す。そついうことに慣れていたない俺は少し距離をとったが、気にせず話しかけてくる。
 
「綾小路と堀北だ。」
 
「堀北さんは分かるけど、綾小路って誰?」
 
「誰って、自己紹介のとき居たよ。窓際一番後ろの席の男の子だよ。」」
 
「...ああーあの人ね。地味すぎて覚えてなかったよ。」
 
ちらっと綾小路の方を見てみるとやはりダメージを受けているようだった。確かに今の言葉を自分が受けていたら綾小路のようになっていただろう。
綾小路がダメージを受けているとも知らず軽井沢が話していたが、綾小路のため、洋介が切り上げようとする。
 
「彼らとはあまり仲良くないから、司に橋渡しをしてもらえると嬉しいな。これからの三年間、僕たちは協力しなければクリアできない試験などもあるだろうし、よろしくね。」
 
「ああ。できる限り協力させてもらう。」
 
「ありがとう。さて、そろそろ部活動紹介が始まる時間だね。遅れてしまったら勿体無いしそろそろ行こうか。」
 
「そうだな。それじゃあ洋介。またな。」

洋介と軽井沢と別れて綾小路、堀北と合流する。そのまま体育館に向かったがかなり多くの人数が移動をしていた。体育館に着いてみると、自分が予想していた以上に人が集まっていた。中にはDクラスの生徒の姿があったが、ほとんどが知らない生徒であった。
 
しばらく待っていると部活代表による入部説明会が始まった。特に変わった所の無い普通の説明会だった。よくするような実践的に動きをしてみて紹介するところ、自分の部活のいいところを伝えるところ、面白おかしく紹介するところもあった。やはりあまり入りたいと思うような部活はなかったが、壇上で部活の部長さんが説明している中、俺のとなりにいる綾小路と堀北は昼にしていたような漫談をしていた。この二人の掛け合いは見ていて面白い。部活の紹介よりも印象に残ってしまっている。
 
何事もなく淡々と部活動紹介は進み、全ての部活動紹介は終わったようだった。だが、その後で生徒会の紹介があるとアナウンスされた。生徒会の紹介まであるとは珍しい。普通は部活動紹介なとではしないものだが、自主的に入るものとしては同じであるだろう。
なんだか堀北の様子が先程から変だ。横を見やると急に堀北が落ち着いていないのが分かった。声をかけても返事はなく、その視線は壇上の一人の眼鏡をかけた生徒を捉えていた。
冷たい印象を受けるメガネをかけた男子生徒が堀北の目線の先にはいた。他の部活動紹介の人たちが明るくフレンドリーにして、少しでも多くの生徒を勧誘しようとしていたにもかかわらず、一切そんな雰囲気は見せない。部活動紹介を始める前に多くの生徒たちは喋っていたが、その生徒は一言も発さない。体育館全体が異様さに気づきざわつきだすも、全く意にも介さず微動だにしなかった。
そして彼が壇上に立ち上がった瞬間から空気は突如として変わっていく。体育館全体が、張り詰めた、静かな空気に包まれる。誰に命令されたわけでもないのに、話してはいけないと感じるほど、恐ろしい静寂に覆われていた。話せばその場で殺されるような静寂が30秒ほど続いた頃、ゆっくりと全体を見渡しながら壇上の先輩が演説を始めた。

生徒会長の2分ほどの演説中誰も一言も発することができなかった。雑談でもしようものならどうなるか分からない。そう思わせる気配があった。異様な雰囲気の中、司会者の終了の挨拶で説明会が終わる。しかし、堀北さんは立ち尽くしたまま動く気配が無かった。
先ほどの男子生徒は堀北学だと名乗った。堀北と同じ名字であること、普段冷静で取り乱すことのない堀北がここまで取り乱している様子を見るに実の兄なのだろう。あの堀北をここまでさせるなんてどんだけ恐ろしい生徒会長なのだろうか...
 
 
「よう綾小路お前も来てたんだな。それと...きりょうだっけ?」
考えをしていた俺の元へ須藤がやってきた。隣にはクラスメイトである池 寛治と山内 春樹たちの姿も見て取れた。二人とも自己紹介のときにいた生徒で二人とも女子のことばかり考えている至って男子高校生らしいクラスメートであった。
 
「桐生だよ。今日話しただろ?」
 
池が須藤にツッコミを入れる。山内は昨日に少し話していたのでこちらにも話しかけてくれた。それから五人でどの部活が男子用のグループチャットに誘われ入会し、その場の全員と連絡先を交換した。堀北さんはいつのまにやら居なくなってしまっていた。後を追っても仕方がないと判断し雑談に興じた。

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